著作物がこの契約書の定める条件の下で頒布される旨の告知を、著 作権者がその中に書いたすべてのマニュアルあるいはその他の著作物は、 本利用許諾契約書の適用対象となる。以下において、「『文書』」とはそ のようなマニュアルないし著作物すべてを指す。公衆の一員ならば誰でも 契約の当事者となることができ、この契約書中では「あなた」と表現され る。
『文書』の「改変版」とは、一字一句忠実に複製したか、あるいは 変更や他言語への翻訳を行ったかどうかに関わらず、その『文書』の全体 あるいは一部分を含む著作物すべてを意味する。
「前付け(Secondary Section)」とは、『文書』中でその旨指定さ れた補遺ないし本文に先だって置かれる一部分であり、『文書』の出版者 あるいは著者と、『文書』全体の主題(あるいはそれに関連する事柄)との 関係のみを論じ、全体としての主題の範疇に直接属する内容を全く含まな いものである(たとえば、もし『文書』の一部が数学の教科書だったとし たら、前付けでは数学について何も解説してはならない)。前付けで扱わ れる関係は、その主題あるいは関連する事柄との歴史的なつながりのこと かも知れないし、それらに関する法的、商業的、哲学的、倫理的、あるい は政治的立場についてかも知れない。
「変更不可部分(Invariant Sections)」とは前付けの一種で、それ らが変更不可部分であることが、『文書』をこの契約書の下で発表する旨 述べた告知中においてその部分の題名と共に明示されているものである。
「カバーテキスト(Cover Texts)」とは、『文書』がこの契約書の 指定する条件の下で発表される旨述べた告知において、「表カバーテキス ト」あるいは「裏カバーテキスト」として列挙された短い文章のことを指 す。
『文書』の「透過的」複製物とは、機械による読み取りが可能な 『文書』の複製物のことを指す。透過的な複製物の文書形式は、その仕様 が一般の人々に入手可能で、その内容を一般的なテキストエディタ、また は(画素で構成される画像ならば)一般的なペイントプログラム、あるいは (図面ならば)いくつかの広く入手可能な製図エディタで直接かつ簡単に閲 覧および編集ができ、なおかつテキストフォーマッタへの入力に適する( あるいはそのような諸形式への自動的な変換に適する)ものでなければな らない。透過的なファイル形式への複製であっても、そのマークアップが 読者によるそれ以降の変更をわざと邪魔し阻害するように仕組まれたもの は透過的であるとは見做されない。透過的ではない複製は「非透過的」複 製と呼ばれる。
透過的複製に適した形式の例としては、マークアップを含まないプ レーン ASCII形式、Texinfo入力形式、LaTeX入力形式、一般に入手可能な DTDを用いた SGMLあるいはXML、そして人間による変更を想定して設計さ れた、標準に準拠したシンプルなHTMLなどが挙げられる。非透過な形式と してはPostScript、 PDF、独占的なワードプロセッサでのみ閲覧編集でき る独占的なファイル形式、普通には入手できないDTDまたは処理系を使っ たSGMLやXML、ある種のワードプロセッサが生成する、出力のみを目的と した機械生成のHTMLなどが含まれる。
「題扉(Title Page)」とは、印刷された書籍に於いては、実際の表 紙自身のみならず、この契約書が表紙に掲載することを義務づける文章や 図などを、読みやすい形で載せるのに必要なだけの、表紙に引き続く数ペー ジをも意味する。表紙に類するものが無い形式で発表される著作物におい ては、「題扉」とは本文の始まりに先だってその著作物の題名が最も目立 つ形で現れる場所の近くに置かれる文章のことを指す。