[Momonga-devel.ja:00056] Re: プロジェクトのメンバー内で開発について語り合っている場の公開希望


toy2 です。
# スレッド切りました。

大変な長文ですみませんが、
多少誤解されている方が、どちらの側にもいらっしゃるようなので、
ちょっと口を挟ませてください。

まずは、サーバが落ちてしまう前に、
初期の頃の Kondara-devel.ja の archive を見てみて下さい。
  http://www.kondara.org/archive/Kondara-devel.ja/index.html
見返してみると、本当に ML に流していいのかと思ってしまうような情報まで、
どんどん流れていたことがわかります。

この頃は IRC がなかったのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。この頃から既に #kondara はありました。
残念ながらその頃の log は僕の手元に無いのですが、
野球とか漫画とか、メンバのプライベートなどのとりとめのない雑談をしたり、
norika (かつて #kondara にいた bot の名前です) のおみくじなどの機能で遊んだり、
そして技術的な質問や相談のような話題もありました。

この頃と今とではメンバーは大きく変わりましたが、雰囲気はさほど変わっていません。
つまり、IRC の存在は、全くとは言いませんが、あまり関係がないと思っています。

では、何故に Kondara-devel.ja に技術的な話題が流れなくなったのでしょうか?
僕が考える最も大きな要因は、開発の進め方の変化であると思います。
どのように変化をしたのかを、ちょっと具体的に書いてみます。

[初期の開発の進め方]
1. Jirai などにある SRPM を自分のマシンに download し、そこで修正等を加える。
2. できた SRPM を ftp.kondara.org の incoming に put する。
3. 修正点などを Kondara-devel.ja に報告する。
4. account を持っている人が、omoi.kondara.org などの公式開発サーバで build および test し、
   問題がなければ ftp.kondara.org の Jirai や errata などに置く。
5. 問題があった場合は、Kondara-devel.ja にリプライし、必要であれば修正などを求める。

そのため、Kondara-devel.ja において、
ほぼ全ての package の開発の流れが見ることができました。
しかしこの方法は、いくつかの問題点をはらんでいました。

[初期の開発の進め方の問題点]
1. 古い SRPM は削除されてしまうため、変更を戻すことができない。
2. package 数の増加に伴い、Project のメンバに負荷がかかってきた。
3. 2 のため、incoming に put された SRPM が放置されることが多くなってきた。

これを改善したのが、CVS でした。
SRPM は全て SPEC や patch などに展開され、CVS に登録されました。
account を持っている人は、直接 CVS に commit し、
しかも他の人の変更の履歴を自由に見ることができるようになったので、
Kondara-devel.ja に流さなくとも開発が進むようになりました。
そして、account を持つ人の開発速度が、持たない人に比べて圧倒的に速くなりました。

しばらくの間、account を持っている人は直接 CVS に commit し、
それ以外の人はこれまで通り ftp の incoming に put するという 2 重体制が続きましたが、
前述の 2 と 3 を解消するため、ftp の incoming を廃止し、
開発者はなるべく account を持つように勧めるようになりました。
その後、cvsweb や annoncvs が公開されるようになりましたが、想像していたよりも、
account を持たない人による開発が盛り上がるということはありませんでした。

まとめると、CVS の採用により、2 つの大きな変化が起きました。
1. Kondara-devel.ja の incoming への put の報告という役割が失なわれた。
2. account を持つ Project のメンバとそうでない人との間に大きな隔差が生じた。

そしてこのことにより、技術的な話題が
不特定多数の人が参加する Kondara-devel.ja には流さなくとも、
account を持った人のほとんどが集まる IRC にて完結できてしまうようになりました。
つまり、IRC の存在ではなく、IRC にいる人に開発が一極集中したことが、
大きな問題だと思っています。

IRC のログの公開は、一時的には効果があるかも知れませんが、
チャンネルの分裂や書き控えによる IRC の利用の衰退を招くだけで、
解決策にはならないと思います。
また、会話調で書き散らされたログは、技術的文書として役に立つとは到底思えません。
おそらくどこかでネタにされて終わりでしょう。

これは僕自身も当てはまりますが、
本質的な改善は、面倒であろうが反応がなかろうが、
とにかく ML に投稿し、そして投稿があったら反応するしかありません。

また、acccount を持つ人とそうでない人の間の障壁を取り払う必要もあります。
今さら CVS を廃止したり、anoncvs による commit を許可するわけにはいきませんが、
普段から積極的に関わることはできなくても、
たまに空いた時間で貢献したいという人もいるはずです。
かつて ftp の incoming があった頃のように、
account のない人は patch 等を ML に流し、
account を持っている人が、できるだけ速く反映なり拒絶なりの
レスポンスを返すということが必要です。

どちらも言うのは簡単ですが、実行するには大変骨の折れることです。
機械的に CVS の commit log を ML に流しても、
(流さないよりはマシかも知れませんが、)
それに対する feedback がなければただの資源の無駄使いです。
人の労力がなければ、結局何も改善されません。

ディストリビューションの開発は大変なのが当たり前です。
それをされている方からすれば、
最近何もしていない僕がこんなことを書くのは腹立たしいことかも知れません。

しかし、account を持っている方には、あえてさらなる労力を費すことを求めます。
メモ程度でいいのですから、自分がやっていること、
やろうとしていることを ML に投げてください。
ひと握りの人しか反応してくれないと思いますが、それが当たり前なのです。
興味がない人がほとんどです。
興味があっても発言しない人がほとんどです。
それでも多くの人の目に触れます。
それが「公開されている」ということなのです。

account を持っていない方には、
積極的に devel の議論に参加することを求めます。
できる人はできることをしてください。
わからないことを尋ねるだけでもいいのです。
そしてもっと何かができるようになってください。

そうすれば、全体のモチベーションが上がります。
モチベーションが上がれば、
account を持っている人が労力を惜しまなくなります。
それが「みんなで開発している」ということなのです。

# Kondara が正式に解散した後、Momonga の account を申請しようと思っています。
# 果たしてどこまでお手伝いできるかはわかりませんが、
# こんな大見栄を切った以上、できることはちゃんとやろうと思います。

最後になりましたが、
ここに書いたのはあくまで僕個人の私見ですので、
偏った見方をしていたり、間違えている所があるかも知れません。
もしそういう所があるようでしたら、ご指摘いただけるとありがたいです。

以上です。

-- 
WATABE Toyokazu
toy2@xxxxxxxxxx
http://www.nidone.org/