というわけで、ビッグ・バン エンジンは他社のエンジニアにまたしても衝撃を与えて、他社も必死こいてマネするワケだけど、これが2軸クランクのエンジンだと実装がとても難しかったらしい。出始めのYAMAHA製マネっこビッグ・バンはよく壊れたし。
こうして、ドゥーハンのマシン開発能力とHONDAの技術力もあいまって、彼は4年連続世界チャンピオンになった。NSR自体も、250からのステップアップ組でもそんなに乗りこなすのに時間の掛からない、乗りやすい特性になっているように見える。
ドゥーハンの素晴らしい業績には何もイチャモンの付けようもないし、アッセンで負った大怪我から立ち直ってのV4は見事の一語に尽きるよ。でもなぁ…回りを見渡してもライバルがいないよねぇ。クリビレにしても岡田にしても、同じNSRじゃん。そりゃ一回や二回は勝てるかも知れん。だけどシーズン通して勝てるとは思えねぇよ。もともとドゥーハンが造り込んできたマシンだぜ。しかも、ドゥーハンはトップエンドの伸びを重視して、ビッグ・バンエンジンを捨てて、今シーズンはかつての等間隔爆発型のエンジンを使ってるそうだ。シャシーが素晴らしく熟成されちゃってるから、それでも昔のジャジャ馬よりはずいぶんと乗りやすいんだろうと想像はつく。が、それに岡田が乗ったとして、同じタイムでレースディスタンスを走り続けることができるんだろうか…
かつて、ドゥーハンがまだHONDAのエースになったばかりのころは、SUZUKIにはシュワンツ、YAMAHAにはレイニーというドゥーハンに匹敵するエースが存在した。ライダーとしての能力という面でもそうだが、何が大事って、マシンの開発がすべてエースライダーを中心に進んでいたというのが大きいよなぁ。各メーカーに1人、必ずモノサシになるライダーがいたんだから。
ノリックにしろ、ゴバードにしろ、いいライダーだと思うし、頑張っているのはわかるが、しょせんドゥーハンの1秒とかヘタすると2秒落ちのタイムでしか走れないライダーがいっくらテストしてセッティングを探し、タイヤを選んで、データを集めても、それらを反映して造られる改良型や翌年型のマシンは、設計時点で許容する限界というのが結局は、ドゥーハンの造ったNSRの、1秒ないしは2秒落ちってことになるんじゃないか?
逆に、ノリックやゴバードがNSRに乗ったら、軽くYZRやRGΓでの持ちタイムを更新し、岡田やクリビレに匹敵してしまうってことも十分にありえるハナシだ。
仮に、ノリックが現状では不満がなくなってきたと言っているYZR500にドゥーハンが乗ったら、NSRに乗るときと同じタイムで走ろうとした結果、未だかつてYZRが到達したことのない領域に簡単に踏み込んでしまい、不満だらけでフレームから全部作り直しになりそうだよねぇ。
これって、適切な喩えじゃないかも知れないけどさ、250ccの4気筒に乗っている中免ライダーが、このエンジンはモタツクとか何とか不満を言うわりにはエンジンをたいして使っていないのに対して、掛け値なしのフルパワーを経験済みの限定解除ライダーが躊躇無くエンジンを使い切って走れちゃうのと、なんか共通するものを感じるんだな。
ドゥーハンは来年、YAMAHAに移籍してチームレイニーで走るかも知れない、というウワサがあるけど、これが本当なら面白いねぇ。シュワンツ引退の後遺症をいまだに引きずっていて、マシン開発の方向性が見えなくなってしまっているSUZUKIはしょうがないとしても、HONDAのエースはクリビレか岡田になって、琢磨がV4に格上げされるとするでしょ。で、核となるドゥーハンを失ったHONDAは開発能力が大幅に下がりほぼ今年型のNSRと大差ないマシンで戦うワケ。
で、ドゥーハンを得たYAMAHAは、シーズンオフにテストしまくり問題出まくりで、開幕当初はさすがにドゥーハンも全然勝てなくてHONDAのV2にさえ負けたりするが、中盤に差し掛かるに連れて要求していた新パーツが次々に袋井から届けられ、たいして開発の進まないNSRに遂には匹敵するまでになり…ってこれじゃローソンが移籍した年にタイトルを取ったのとまったく同じ展開だよ(^-^;)
でも、それくらいマシン開発って重要だと思うんだ。どうなるかねぇ来年は。
REPSOL HONDAに岡田、宣篤、琢磨が結集し純日本人チームを作り、クリビレは移籍してポンスのMOVISTAR
HONDAでチェカ、プーチと組んで、監督からライダーまで全員スペイン人というドリームチームを作るのでわ、なんてウワサが流れているけど、実際どうなんだろうね。
オレは今シーズン、あまりにもHONDAが強すぎなんで、500にはあんまり興味なかったんだけど、それには、かつての戦国時代みたいな、ライダー間のライバル関係、熱い確執みたいなドロドロしたものがなくてツマラン、ってのもある。みぃぃぃぃんなHONDAに乗りたがるあまり、ドゥーハンに突っかかっていくような跳ねっ返りもいないし、みんないい子ちゃんって感じでシラケ気味だったんだ。
不遇なシーズンを送っているノリックは可哀相だしちょっと期待薄でしょ?だから実は一番注目していたのはVツインの琢磨だったりする。ヤツはスゴイねぇ。ほんとに。確かに一流の腕前だと思うぜ。
コーナーで勝負することを宿命付けられたVツインは、やっぱりV4よりもできるだけ軽量でコンパクト、ホイールベースも短く短く造るしかないでしょ?そうすると、かつてのNSRが苦労したネガな面と同じような要素を潜在的に持ってしまっていると思うんだ。Vツインってことで、ビッグ・バンエンジンと同じく不等間隔爆発とはいえ、V4の倍ものボアがあるエンジンだぜ。1発1発の爆発トルクはむしろVツインの方がはるかに大きいはずだ。
軽量な車体を生かして目一杯突っ込み、ストレートでの遅れを補おうというのは結構だ。だが、その状態で突っ込んだあと、今度はアクセルを開けていく、その瞬間は恐怖だ。回転数をドロップさせすぎて、全閉からドカンと1気筒あたり250ccの低中速トルクが炸裂したんでは、フロント荷重が抜けたり、リヤがブレークしたりの大騒ぎになるだろう。
それを避けるためには、目一杯突っ込みつつも、あまりエンジン回転数をドロップさせ過ぎないように注意しつつ進入ラインに乗せ、アクセル開けはじめのポイントに来たら細心の注意でもってアクセルを開けていく、てのが必要だ。
それを言ったら岡田も同じじゃん、というかも知れないが、岡田はNSR250に長年乗っていわば2stVツインを知り尽くしたスペシャリストだ。対して琢磨は2stの経験はたいしてないだろ。この差は大きいと思わないか?
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