8/20(水) 妻、母、人
♪ポケットを叩けばビスケットがひとつ♪という歌があるが、オレは常々、ポケットを叩いてお金が出てくるジャケットが本当にあるなら、仕事なんてしないのに…と思っている。まぁそんなことは現実的にはムリなんで、なにかよほどのことでもない限り、一生働き続けるんだろう。まぁそれはいいさ。50になっても60になってもオレを雇ってくれる職場があるなら働くし、収入に見合う暮らしをしようと思う。
いつかリタイヤする日が来ても、オレにはバイクという趣味があるから、やることがなくなって急にフケ込むなんてことはなかろう。それより化石燃料の枯渇のほうがよっぽど心配だぜ。マジで。ヨボヨボになって50ccにしか乗れなくなっても、それはそれで満足だが、ガソリンが買えぬのでは楽しみようもないからなぁ。
でも、現代に生きる女性ってのは大変だよな。結婚なんてしないでずっと働くわ、という人はまだいい。がんばってくれ、と祈るのみだ。が、結婚という選択をする女性はとっても大変だ。仕事を続けるなら、家事をどうするかってのがまず第一。もちろん、結婚しても仕事を、と考える女性なら、家事は折半ね、という提案に同意しないような男は相手にしないんだろうが、実際に好きになっちゃった男が家事もできるヤツとは限らないからねぇ。で、結婚した時点で、女性は妻という役割を持つわけだ。
なんとかかんとか家事と仕事の両立を、工夫して乗り越えてきた夫婦に次に訪れる転機は、妊娠・出産だろう。ほとんどの女性は、この時点で仕事を辞めてしまう。なかには育児休暇や各種の制度を利用して、がんばって仕事を続ける人もいるが、とても大変だろうと想像はつく。こればっかりは折半ってわけにはいかないしなぁ。この時点で、女性は妻に加えて、母という役目も持つことになる。
最近は、子供は要らない、という夫婦が多いが、それも当然だろう。働いてる女性にしてみれば、収入があるってことは自由になる金があるって意味だ。お互いの給料明細を見せない夫婦だって多いにちがいない。そういう収入を捨てて、生活する上ですべての負担を夫に依存するというのは我慢ならない、という考えは女性のみならず、男性の方にだってあろう。
だが、たいていの夫婦は、子供が生まれると、女性は専業主婦になり、子供の世話をして、男性は仕事を続け、収入を確保するのが大事な役目になり、オイシイとこを持っていくお父さんってのになる。
この状態が続くと、母親の役割がメインを占めるようになり、女性は結婚する前の状態からだいぶ変貌してくる。子供連れで移動するのがほとんどで、行き先も近所の公園なんてのが多いから、スーツなんて論外、スカートすらまれになったりする。化粧なんて手抜きするか、しないときもある。サラサラだったロングヘアも、うっとうしいからという理由で惜しげもなくバッサリ切ったりする。
でも、そういうもんなんだろう。母親ってのは本当にそれくらいの激務なんだ。24時間365日、年中無休のコンビニ状態。それを、こんなはずじゃなかった、とか、付き合ってた頃はあんなに可愛かったのに、などとは決して言えぬ。メシを作れ、洗濯しろ、掃除はどうした、化粧くらいしろ、服にも髪にも気を使え、ってあんた、神様じゃねぇんだからそりゃムリだよ。
むしろ、そういう姿にガッカリしたり、相手を責めたりする前に、可愛かった彼女をこんな姿にしてしまったのは自分なのだ、と思い知り、いつまでも可愛い奥さんでいて欲しいと願うなら、態度で示そうぜ。毎朝、ほんのちょっとの時間さえあげれば、手際良く化粧くらいはしてくれるだろうし、給料出たから服を買いに行こうよ、と連れ出して、一緒に似合う服でも選べばよかろう。その時、子供はどうするんだって?
もちろん子供も連れて一緒に出かけるのさ。で、今日はお母さんに似合う服を探す日だよ、と服選びに混ぜてしまえばいいのだ。世話をする、などと一段上から見下ろすから辛くなってしまうだけだ。
でも…と最近思う。やっぱり、専業主婦で母親、ってのは社会への関わり方が偏りすぎなんじゃないか、ってね。オレは仕事があって、延長線上には、やってみたい仕事や、進みたい職種なんかがおぼろげとはいえ見える。バイクという金もヒマも惜しみなくつぎ込める趣味もある。たいていの男性はそうだろう。だけど、母親やってる女性のほうはどうなんだ?
妻であり母でもあるが、その中身は「人」であるはずだ。子供が手から離れていったらいったい何をする?何をすればいい。
その時点から仕事をしようにも、パートくらいしかなく、専門的な仕事や、やりがいのある仕事にはもはや付けまい。
9月から香織が幼稚園に入る。一日ほんの数時間、最初は午前中だけだが、とにかくハニーに自由な時間ができるのは確かだ。そこで、ハニーはその時間を利用して、英会話の学校に入学したい、という。もちろん大大大賛成だ。英語の勉強になるのはもちろん、友達なんかもできるかも知れんし、本当に肩の荷をおろして、1人の時間を満喫してほしい。家と学校の行き帰りなんか、好きなだけ寄り道もすればいい。
なにしろ、香織が成人するまであと15年とちょっとだ。10歳にもなれば、ものわかりもよくなって、母親業からもだいぶ開放されるだろう。それまであと6年しかないんだぞ!その間に、一生楽しめる趣味でも、学問でも、なんでも、本当になんでもいいから、何か見つけておいてくれ。そのための手助けなら、できる限りのことをするつもりだ。
オレには、将来やりたいことや進めそうな道があるのに、ハニーにはそれがない、というのでは、あまりにも不公平だろう。夫婦として、人として。そうだろ?
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