4/28(火) 影響を受けるということ

オレは日本の会社員としては、いわゆる普通ではなかったんじゃないか?などと今さらながら思い返している。ことさら非凡な能力を持っていたわけではないが、かといってまったくの平凡な会社員ではなかったはずだ。特にオレを管理する立場にあった人にとっては、オレはダメ社員の範疇だったに違いない。

仕事の成果そのものには、それなりの自負というようなものを持って日々暮らしてはいたが、その他の面ではオレくらいダメなヤツもいないとも思っていた。いわゆる、だらしがないんである。ところで、だらしがない、とか、だらしない、などと言う場合の、だらしってなに?だらしって。もとい。

オレはエンジニア、細分するとプログラマを生業としているので、生産物や成果物というと、プログラムであったりソフトウェア製品であったりするわけだが、日本の会社というのは、かならずしもそういった直接的な成果物のみで評価が定まる世界ではないようだ。

フレックスタイムなどという制度があるが、実際のところ、朝10時までに出社すればよい、と言われれば、オレなどはまず10時以前には出社しない。つまり全然フレックスじゃないのである。単に朝が遅くなり、夜も遅くなり、スライドするだけなんである。つまりはだらしがないのだ。遅刻欠勤の常習犯であった。

身だしなみ、などというものも社会人は問われてしまう。ヒゲもそらず、髪はボサボサで、いつも同じジーンズとジャケットという恰好でウロウロしているオレなどは、まさになってない人の見本のようなものだったかも知れん。

そんなふうに日々ウダウダと過ごしていたとき、会社の中で1人の男と親しくなった。よくオレの日記にでてくるtakaである。以前から存在は知ってはいたが、特に仕事上の関係もなかったし(実際に退社するまで1度も一緒に仕事をする機会はなかった)、オレというヤツは、用事がなければ話もしないし、別に会社に友達作りに来てるワケじゃねぇよ、というスタンスだったので、単にその辺に座ってて、名前を聞いたことあるヤツ、程度のもんだったのだ。

それがどういうワケだか、たぶんtakaが二俣川で限定解除したとかなんとか、そんな感じで話をするようになり、今に至っている。よくよく話をしてみると面白いヤツというか興味深いヤツで、仕事もできて技術もあるし、うむ〜コイツにはかなわないかもと思わせてくれるヤツだったのだ。DECを辞めて転職してから2年くらいが経過していて、毎日同じことの繰り返しで、これじゃ緩慢な自殺と同じだなぁなどと思いつつあった頃だったので、takaとくだらないヨタ話や技術的な話などをするのはオレに取っては楽しいことだったのだが、しばらくするとヤツは会社を辞め、日本を捨ててシリコンバレーに去って行ってしまったのだった。

オレは、給料や待遇に無頓着というほどでもないが、それよりむしろ自分がスキルアップすること、を最大の目標に置いて仕事をしている。それが会社の利益につながるのが理想なのだが、takaが去ったときから、む〜、なんか今の会社からは得るものが少なくなってしまったなぁ、などと思うことが多くなっていった。そんな頃、とある人の日記を発見した。よしおかさんという人のシリコンバレー日記である。今現在、プログラマを営んでいる人、またこれからプログラマになろうと思っている人は、必ず読んでおくべき日記と言えよう。題名に引かれてちらっと読んでみたら、いちいち共感しまくりで、すっかりファンになってしまった。

しかも、よしおかさんもDECの先輩だったのだ。多いなぁDEC出身者。ものすごい数のエンジニアを放出したからなぁ。結局、よしおかさんの日記を読んだのが最終的な決めてになり、オレもシリコンバレーに職を見付けよう、という気持ちがすっかり固まったのだった。オレの中にある、I18nとかL10nとか、その辺の考え方取り組み方は、よしおかさんやtakaにとても影響を受けている。もはや受け売りといってもいい

といったわけで、2人ともそんなこた全然考えもしていないだろうが、オレ個人にしてみればとっても大きな影響を受けたのだ。2人に接する機会がなかったなら、今も日本で、20年くらいかかる緩慢な自殺のような生き方を続けていたに違いない。感謝感謝だ。

結局、うまいことシリコンバレーで仕事につくことができ、よしおかさんにもお会いすることができた。さるメーリングリストの集いでSan Mateoの公園でBBQが開かれたときに、オレらしくもなく参加したのだ。よしおかさんに会ってみたいと思ってね。いまさらなんでこんなことをホジクリ返して書いてるかと言うと、実質的に休筆状態だったよしおかさんのシリコンバレー日記が再開されたからだ。リンクを張る許可をいただいたので、リンク集を直そう、などと思っていたのだが、もう一度よしおかさんの日記を読み返したら当時の気持ちが相馬灯のように甦ってきて、ついダラダラ書いてしまったのさ。

人に歴史あり、だろ?(笑)

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