10/4(土) 耳をすませば

今、世の中は「もののけ姫」なんだろうが、オレにとっては「耳をすませば」が一番新しい宮崎アニメだ。オレ自身、なにを今ごろになって、とあきれるが、実際面白かったんだからしょうがない。誰が何といおうと、「耳をすませば」がマイブームなのだ。

去年公開されたときに、とっとと見に行っていればよかったんだが、「好きな人ができました」というコピーが引っかかってしまって、なんとなく見に行かなかったんだよねぇ。魔女の宅急便、トトロ、紅の豚、といったファンタジー路線じゃなくて、恋愛ものなの?と思ってさ。

今住んでいるSantaClaraや隣町のSanJoseには、日本人向けのレンタルビデオ屋があって、日本の映画やドラマ、スポーツ番組からバラエティ番組にいたるまで、1〜2週間遅れで借りることができるんだ。で、オレもとある店の会員になっているんだけど、そこで「耳をすませば」のビデオを借りてきて、見たってワケさ。

いやぁ、面白かったねぇ。オレ、宮崎 駿の作品の中で、ひょっとしたら1番好きかも。

中学3年生の、本が大好きな「雫」という名の女の子が、同じ中3の、バイオリン職人を夢見る「聖司」という男の子に恋をする、という話がベースなんだけど、まぁ、多くは語るまい。それに、オレごときには語れない。あまりにも多くのメッセージが込められていて、見る人によって大きく受ける印象が違うだろうから。

誰でも、子供の頃、小学生くらいのころかなぁ。将来どんな人になりたいか、どんな職業に就きたいか、など考えたはずだと思う。他愛のないものから、大きな夢までいろいろあったはずだ。宇宙飛行士だったり、スチュワーデスだったり、ね。

だが、大きくなるにしたがって、年を取り、いろいろと思い通りにならないことにぶつかって、やがて、その夢を捨ててしまう。妥協してしまう。「耳をすませば」の物語の中で、「聖児」は家族の反対という、中学3年生にとっては決して小さくない障害を乗り越えて、イタリアへ修行に出かける。それを見た「雫」は、受験勉強を放り出して、物語を書くことに挑戦する。

この映画は、夢を忘れてしまった大人、毎日が同じことの繰り返しになっている大人に、これでいいのだろうか?と自分に問いかけるキッカケを与えてくれると思う。思春期の、今まさに進路を決めようとしている人々には、夢をあきらめないでがんばろう、という気にさせてくれるのだろう。

オレももう32だ。これから残りの人生のなかで、大きく舵を切ることはほとんどないかも知れない。おそらく、アメリカに永住するのか、日本に帰るのか、がまず最初の大きな選択肢となるだろう。どちらを選んだとしても、後悔はしないぞ。

単なる「働くお父さん」になら、いつだってなれる。まだゲームは続いてる。あの1球がすべてだった、の1球は、終わってみるまでわからない。これから打つことになる可能性だってないわけじゃない。常に自問自答し続けよう。これでいいのか?これがおれの望んだものなのか、ってね。

♪ひとりぼっち 恐れずに 生きようと夢見てた♪
♪さみしさ押し込めて 強い自分を守っていこう♪

いい歌詞だなぁ。まったく、その通りだ、なんて思うよ。みんなと同じなのはいやだ、ってのはきっと、ワガママな反面、それなりにしんどく、ちょっぴりさみしいもんなのさ。

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