3. 飼い慣らす

$ ls /usr/share/config-sample/mutt

してみると、いくつかのファイルが見えるはずです。たとえば

$ head -1 /usr/share/config-sample/mutt/dot.muttrc

とすると

# ~/.muttrc

と表示されるので、そのファイルの本来の位置がわかります。

$ cp /usr/share/config-sample/mutt/dot.muttrc ~/.muttrc

としてください。 あるいは、

$ echo "source /usr/share/config-sample/mutt/dot.muttrc" > ~/.muttrc

としてください。 これで、日本人が大きな不便を感じない程度の設定になります。 さて、ここで設定に合わせたフォルダやファイルを作成しておきましょう。

$ mkdir -m 700 ~/{Maildir,Mail}
$ mkdir -m 700 ~/{Maildir,Mail}/{cur,new,tmp}
$ mkdir -m 700 ~/tmp
$ touch ~/.alias
$ chmod 600 ~/.alias

という手順で良いはずです。

しかし、まだ自分に合わせた設定が必要ですので、 編集や追加というカタチで、~/.muttrc 内の realname などの変数を書き込まなくてはなりません。

具体的には

set realname="YAMADA Taro"
set hostname="home.yamada.jp"
set pop_host="pop://yamada@pop.server.com"
set pop_authenticators="apop:digest-md5:gssapi:cram-md5"
set from="yamada@server.com"
set pgp_sign_as="0xDEADBEEF"
set smime_sign_as="abcd0123.0"

とかいうことになります。 これは YAMADA Taro さんが home.yamada.jp 上で Mutt を利用している例で、 pop.server.com という APOP のサーバの yamada というアカウントのメイルを 毎回パスワードを入力して取得することになります。 また、送信については

From: YAMADA Taro <yamada@server.com>

となるように設定してあり[3]、 PGP は 0xDEADBEEF という秘密鍵を署名に使い、 S/MIME は abcd0123 というハッシュ値の鍵を使います。

[メモ] メモ

「SMTP の設定がないじゃん」と思ったかもしれません。実際、ありません [4]。 Mutt はもともと SMTP を話さず sendmail を直接呼ぶので、 postfixnomail[5]ローカルに必要なのです[6]

ほかには editorsendmailindex_format といった変数をいじったり、 set 以外の、color, macro, bind というようなコマンドを使ったりしていろいろと設定できます。 その内容については

$ man muttrc
$ less /usr/share/doc/mutt-*/manual.txt
$ less /usr/share/doc/mutt-*/manual_ja.txt

を読めばわかりますし、 日本語パッチを保守してくださっている滝澤氏による Linux Japan[7]の記事 「百万人の Mutt」も役立つはずです。連載中に読めなかった人も、 なんと、バックナンバの PDF が 氏のサイトからダウンロードできます。



[3] ただし、from 変数や reverse_name 変数などが絡んで 複雑な場合もあるので、From を確実に指定したければ my_hdr を使うのが良いかも

[4] Momonga では未対応だが、 libesmtp を使った SMTP 対応パッチもあるので、 それを使えば SMTP サーバにアクセスすることもできるようになる。 自分の Mutt が libesmtp にリンクしているかどうかは ldd でわかるはず。 設定については、

set smtp_host=your.server
set smtp_port=25

という感じであろう。 sendmail と切り換えるための変数はなさそうなので、 smtp_host を設定してあると sendmail が無効になる仕組みと思われる。 注意して使うように。

[5] 引数を宛先とみなす MTA コマンド

[6] sendmail や関連する変数のデフォルトはたぶん

set envelope_from=no # sendmail に -f を付けるかどうか
set sendmail="/usr/sbin/sendmail -oem -oi"
set sendmail_wait=0  # 負数はバックグラウンド実行という意味
set use_8bitmime=no  # sendmail に -B8BITMIME を付けるかどうか

となっているはず。 ほとんどの場合、編集する必要はないであろう。

[7] 休刊した